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思考の整理学

思考の整理学 (ちくま文庫) (ちくま文庫) Book 思考の整理学 (ちくま文庫) (ちくま文庫)

著者:外山 滋比古
販売元:筑摩書房
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1986年4月に第一刷発行である。
2008年6月で第四六刷発行と記されている。

最初に出された頃は、私はまだ二十歳を向かえる前である。
時代もIT文化にはまだ遠い時代であっただろうか。

当時を思い出してみた。
この頃は確か予備校に通っていたか、バイトをしていた頃である。
バイトで稼いだお金でパソコンを買った。
当然ウインドウズというOSは存在しない時代で、
MSXというソフトの統一規格があった。
ベイシック、マシン語の時代である。
私が買ったパソコンは記憶に間違えがなければシャープのパソコンテレビである。
パソコンしながらテレビも見れる機能がついたものであった。
記憶媒体はカセットテープであった。
フロッピー版もあったが、価格が高価になるので買えなかった。
このカセットテープ版だと、例えばゲームをするにしても、
ステージや面が変わるたびにロードして、ゲームがなかなか進まなかった記憶がある。

前置きが長くなってしまったが、そんな時代に発売されていた書籍である。
思考、発想法の基本となった本と思えるほど現代のビジネス書などにも通じる内容である。
もちろん整理法、発想法、思考法などもアナログ、紙ベースである。
これが今読むと逆に新鮮である。
アイデア、情報を醗酵させたり、寝かしたり、触媒をつかったりするあたりは、
以前に当ブログで紹介したジェームス・W・ヤングの「アイデアの作り方」にも通じるところがあります。

アイデアのつくり方 Book アイデアのつくり方

著者:ジェームス W.ヤング,今井 茂雄
販売元:ティビーエス・ブリタニカ
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ジェームス・W・ヤングはアイデアの作成を次の手順としています。
①データ(資料)集め・・・・・・ネタ集め
②データの咀嚼(そしゃく)・・ネタを触って色々な角度から見る
③データの組み合わせ・・・・問題を放棄する。できるだけ完全に心の外に放り出す。
自分の感情・想像力を刺激するものに心を移す。
④アイデアの発見(実際の誕生)
⑤アイデアのチェック

一方「思考の整理学」ではこんな感じです。

素材を醗酵させ寝かせ触媒を作用させることにより新しいものが生まれる

この醗酵素がアイデアやヒント。それは異質なところから持ってくる。
そしてしばらく寝かせる。すると素材と酵素の化学反応が進行する。
ここでの寝かせるとは「しばらく頭の中から忘れることである」
「見つめるナベは煮えない」 時間をかける。
触媒は化学反応のきっかけをつくるもの。寝かせた素材を再び呼び起こすものである。

両者の発想のポイントとしては、頭の中からその思考を一度外に出し、すっかり忘れ去ることが必要なようです。
そしてある時に「思いつく」「ひらめく」。
実はこれは「思い出す」ことなのです。
無意識に覚えていたことを思い出す瞬間を人は「ひらめいた」と感じるそうです。
ですから基本的に「仕込み」は大事です。何もないところからは何も生まれないのです。

本書ではこの素材、ネタをどう整理して、記録していくかの方法も書かれています。
頭の中に浮かんだ素材(ネタ)を手帳、メモ、ノートなどに記入します。
これは頭の中から忘れるためです。そして寝かせます。
ある程度寝かせたところでこれを見返します。
当然、素材の中には腐ってしまったものや面白く脈があるものが混在します。
そこで脈がある素材は別のノートに移す作業をします。
ここで面白いのが、コンテクスト(環境、背景)が変わることにより、
その素材の意味は多少なりとも変化するということです。
手帳の中にあったアイデアをノートに移してやると、それだけで新しい意味を帯びるようになるというのです。
このあたりの考え方は非常に参考になります。
この移植作業により素材は変形し新しい面が見えることを期待できます。

このようにしてネタ帳を作っていくのです。

フェラーリと鉄瓶―一本の線から生まれる「価値あるものづくり」 Book フェラーリと鉄瓶―一本の線から生まれる「価値あるものづくり」

著者:奥山 清行
販売元:PHP研究所
Amazon.co.jpで詳細を確認する

こちらの著者の奥山さんは一日に100個以上のアイデアをスケッチブックに残すことを自分のノルマにしているそうです。
以前にテレビ東京のカンブリア宮殿に出演されていた時に話されていました。
奥山さんは以前にフェラーリなどのデザインを手がけるピニンファリーナというイタリアのデザイン工房に籍をおき、そこでデザイン部門の最高責任者デザインディレクターを務めた人物です。日本にもどってきてからは、工業デザインも行っています。
アイデアは欲しい時にすぐに思いつくほど単純ではありません。
デザインの世界でもスピードが命です。必要な時にデザインがでないとチャンスも逃げていきます。
奥山さんはその為に常にアイデア、デザインをストックしているそうです。

ノートの移植作業は価値のある素材を溜めるには非常にいいかと思います。

思考の整理学 (ちくま文庫) (ちくま文庫) Book 思考の整理学 (ちくま文庫) (ちくま文庫)

著者:外山 滋比古
販売元:筑摩書房
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この書籍は文脈にセンスがあります。活字が生きているようで、味わい深い文章です。
一冊の中に数々の思考の手助けになるネタが満載です。

私のお気に入りの書籍が一冊増えました。これまた超お得な520円です。

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受信: 2008年8月 9日 (土) 17時00分

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